アブラキサンについて

アブラキサン

アブラキサンの特徴

アブラキサン®点滴静注用100mg(以下、本剤)は、人血清アルブミンにパクリタキセルを結合させナノ粒子化したパクリタキセル製剤です。
本剤の有効成分であるパクリタキセルは、微小管蛋白重合を促進し脱重合を防ぐことで抗腫瘍効果を発揮するタキサン系薬剤です。
本剤は水に極めて難溶性のパクリタキセルを人血清アルブミンに結合させ、凍結乾燥製剤化を実現したことにより、従来のパクリタキセル製剤の溶媒(ポリオキシエチレンヒマシ油及び無水エタノール)を使用せず、生理食塩液で懸濁し投与することが可能となりました。その結果、過敏症予防のためのステロイド剤や抗ヒスタミン剤の前投薬が必須ではなくなり、点滴時間の短縮、アルコール過敏症患者への投与が可能になるなどの利便性が得られ、さらに有効性の向上も確認されました。

1. アルコールを使用していません。

パクリタキセルを人血清アルブミンに結合させたナノ粒子製剤のため、添加物としてアルコールを使用せず、生理食塩液で懸濁し投与することが可能となりました。

2. ステロイド剤や抗ヒスタミン剤の前投薬を必須としないパクリタキセル製剤です。

過敏症を予防するためのステロイド剤や抗ヒスタミン剤の前投薬が必須ではありません。

3. 点滴静注時間は30分です。

4. 有効性については、転移性乳癌ではRR24%、進行・再発胃癌では同28%、進行非小細胞肺癌では同33%でした。
また、前治療のない転移性膵癌ではOS中央値8.5ヵ月でした。

転移性乳癌患者を対象とした海外第Ⅲ相比較試験〈CA012ー0試験〉において、アブラキサン群の奏効率は、24.0%(55/229例)[95%信頼区間:18.48ー29.55]でした。

進行・再発胃癌患者2次治療例を対象とした国内第Ⅱ相試験〈Jー0200試験〉において、アブラキサン投与群の奏効率は、27.8%(15/54例)[95%信頼区間:16.5ー41.6]であり、期待奏効率25%を超え、閾値奏効率10%を有意に超えていました(p=0.0002、二項検定)。

進行非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験〈CA031試験〉において、アブラキサン群(カルボプラチン併用)の奏効率は、33%(170/521例)[95%信頼区間:28.6ー36.7]でした。

前治療のない転移性膵癌患者を対象とした海外第Ⅲ相試験〈CA046試験〉において、アブラキサン群(ゲムシタビン併用)の全生存期間中央値は、8.5ヵ月[95%信頼区間:7.9-9.5]でした。
切除不能進行・再発膵癌患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相試験〈J-0107試験〉では、奏効率44.1%(15/34例)[90%信頼区間:29.5-59.5]でした。

5. 副作用
(乳癌は使用成績調査〔2010年9月24日〜2011年2月14日〕、胃癌、非小細胞肺癌、膵癌は承認取得時)

乳癌の使用成績調査(全例調査)における副作用の発現率は92.8%(867/934例)であり、主な副作用は白血球減少(64.8%)、末梢神経障害(63.7%)、好中球減少(56.2%)、貧血(31.0%)、筋肉痛(14.9%)、血小板減少(13.1%)、関節痛(12.7%)でした。

胃癌の国内第Ⅱ相試験における副作用の発現率は100%(55/55例)であり、主な副作用は脱毛(94.5%)、末梢神経障害(92.7%)、白血球減少(85.5%)、好中球減少(78.2%)、関節痛(65.5%)、筋肉痛(63.6%)、発疹(54.5%)、食欲不振(52.7%)、貧血(38.2%)、リンパ球減少(38.2%)、悪心(38.2%)、ALT(GPT)上昇(36.4%)、AST(GOT)上昇(34.5%)、口内炎(32.7%)でした。

非小細胞肺癌の国際共同第Ⅲ相試験(日本人72例を含む)における副作用の発現率は91.2%(469/514例)であり、主な副作用は好中球減少(59.1%)、脱毛(55.8%)、貧血(48.8%)、末梢神経障害(45.5%)、血小板減少(44.7%)でした。

膵癌の国内第Ⅰ/Ⅱ相試験における副作用の発現率は100%(34/34例)であり、主な副作用は、血小板減少(88.2%)、脱毛(88.2%)、好中球減少(85.3%)、白血球減少(82.4%)、末梢神経障害(76.5%)、貧血(61.8%)、食欲減退(55.9%)、悪心(44.1%)、発疹(41.2%)、ALT(GPT)上昇(35.3%)、倦怠感(35.3%)、下痢(32.4%)でした。

膵癌の海外第Ⅲ相試験における副作用の発現率は95.7%(403/421例)であり、主な副作用は疲労226例(53.7%)、脱毛211例(50.1%)、悪心207例(49.2%)、末梢神経障害206例(48.9%)、貧血194例(46.1%)、好中球減少193例(45.8%)、下痢156例(37.1%)、血小板減少149例(35.4%)、末梢性浮腫141例(33.5%)、嘔吐133例(31.6%)でした。

6. 重大な副作用

白血球減少などの骨髄抑制、感染症、末梢神経障害、麻痺、脳神経麻痺、ショック、アナフィラキシー、間質性肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害、脳卒中、肺塞栓、肺水腫、血栓性静脈炎、難聴、耳鳴、消化管壊死、消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍、重篤な腸炎、腸管閉塞、腸管麻痺、肝機能障害、黄疸、膵炎、急性腎不全、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、播種性血管内凝固症候群(DIC)等があらわれることがあります。

「警告、禁忌を含む使用上の注意」及びその他の副作用については添付文書をご参照ください。

開発の経緯

本剤は、米国において2005年に乳癌、2012年には非小細胞肺癌、2013年には膵癌の承認を取得しました。世界での承認国数は、2014年12月時点で乳癌は51ヵ国、非小細胞肺癌は9ヵ国、膵癌は41ヵ国です。
国内では2006年に第Ⅰ相試験を実施し、米国での第Ⅲ相比較試験データをもとに2008年2月に承認申請を行い、2010年7月に乳癌の承認を取得しました。胃癌においては2008年に国内第Ⅱ相試験を実施、非小細胞肺癌においては2007年に日本を含む国際共同第Ⅲ相比較試験を実施し、2013年2月に胃癌、非小細胞肺癌の効能・効果追加の承認を取得しました。
膵癌においては2009年5月から実施した海外第Ⅲ相比較試験と、2012年11月から実施した国内の第Ⅰ/Ⅱ相試験により、その有効性と安全性を確認し、2014年12月、優先審査により、治癒切除不能な膵癌の効能・効果追加の承認を取得しました。

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